流れのなかで厚生労働省もジェネリック医薬品を使うようにという方向を示しつつある。
処方薬と同等の効果を持つ市販薬薬剤というのは大きくいって3つのパターンがある。
つまり医師を受診しないともらえない処方用薬剤、それからいま説明したジェネリック医薬品(後発品)、そしてもうひとつがOTC(オーバー・ザ・カウンター)、つまり一般用医薬品だ。
OTCは普通の薬局で医師の処方とは関係なく買えるものである。
先のジェネリック医薬品は医師の処方がいるが、OTCを購入するには処方はいらない。
いわゆる市販薬である。
日本ではOTCの売り上げはここ数年間あまり増えていない。
また内容もドリンク剤が多い。
一方、厚生労働省としては、OTCが伸びることを期待している。
実は処方されている薬剤と同程度の効果を持つ市販薬は結構ある。
たとえば処方される風邪薬などは、20年以上前から使われているPやDが代表格だが、もちろん厳密にいえば、なかに入っているものは少し違うものの、市販の風邪薬と比べて大きな違いがあるかというと、そういうわけでもない。
ただ、強い効果を持つ市販薬の数は少ない。
たとえばよく宣伝されるGには、同じGでも医師が処方するものには中心成分のファモチジンが20r入っている。
一般に売っているものは、Gという言葉からわかるように、その量が10rである。
つまりOTCの方は副作用が出るといけないので、効果も半分になっていることになる。
であるから、風邪薬でもOTCには強い成分は入っていないというケースはもちろんある。
たとえば、ある市販の風邪薬には塩酸ブロムヘキシン、塩化リゾチーム、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸カルビノキサミン、アセトアミノフェン、無水カフェイン、ビスイブチアミン、ビタミンBが含まれている。
強い成分は入っていないものの、10分に効果があると推測される内容だ。
ただ、問題は値段で、医師でもらった方が保険が使えるために安く済むことがあるので、あえて薬局で高い薬剤を買うよりは病院で薬剤をもらおうというのがいままでの傾向であった。
しかし、今後、医療の患者負担が3割だと、薬局で買った方が安いものもだんだん増えてくると予想される。
例によって、アメリカでは日本よりOTCの利用は多い。
また価格も、感冒剤以外は日本より安い。
日本よりOTCが多く使われる理由は、価格が安いことの他に、医師と薬剤師の関係があるといわれる。
アメリカでは、薬剤師と医師はほぼ対等である。
つまり薬剤師というのは薬剤の専門家、医師は医療の専門家という分け方になっている。
日本は、医師自体が土日、薬師であったこともあり、薬の処方にこだわりがある。
さらに教育が4年と6年という違いがあるからかもしれないが、一般には、薬剤師と医師の間には立場や権力の差があるようにみえる。
そのため、風邪のときには医師から薬剤をもらっておいた方が安心という人が結構多い。
結局自分で払う金額もあまり変わらなくて、安心できるんだったら医師の方にいこうという話になる。
このように、処方用薬剤に近いOTCはあるが、なかなかそれが売れないということになる。
ただ、医師の方では薬剤代だけではなくて、診察料や技術料などが含まれた請求になるので、OTCならばかかる費用としては薬剤代だけで済むかもしれないのに医療費としては高くなってしまう可能性がある。
それが保険で3割負担だったら、患者が払う金額は同じであっても実際には国としての医療費が3倍強かかってしまう計算になる。
OTCのリスク少し専門的な話になるが、製薬メーカーが薬剤をつくるときに、最初からOTCにするという方法もある。
さきに解説したGのように、ある程度の年月が経つと、特許が切れたりする関係もあって処方用薬剤をOTCにするというのが普通の考えだ。
ところが、最初から処方用薬剤ではなくてOTCにするという方法もある。
アメリカでは、あえて病院を受診するまでもなく、安く手に入るなら最初からOTCにすればよいではないかという話も出ている。
日本では、一時期アレルギーの薬剤、花粉症の薬剤を直接OTCにしようという動きもあった。
ただ、認可の関係もあり、実現はなかなか難しい。
つまり、製薬メーカーとしても医師に使ってもらって効果を確認してからの方が安心ということがある。
というのは、医師が処方するような強い薬剤を患者がどんどん買って使用することには危険が伴う可能性があるからだ。
Gの場合には医師会によってそれが問題視された。
どういうことかというと、Gというのは胃酸を抑える薬剤だ。
そうすると、胃酸過多による症状、たとえば胸焼けは治る。
ところが、胃がんによる胃痛や胃酸過多だった場合、Gで症状はおさまるものの、1年後にがんが進行していたというようなこともあり得るというのだ。
水虫や花粉症は生命に関わるリスクは少ないから比較的大丈夫だと思われる。
だから、どういう薬剤をOTCにするか、病気ごとに分けて考えなくてはならない。
しかし、いまの医療制度では一律に特許が切れて製薬メーカーから申請されて一定の基準を満たせば、OTCとして認可され得る。
私としては、病気によって対応を変えるべきではないか、と考えている。
医薬分業でトクをしているのはさきの話に戻るが、薬価差は現在はほとんどない。
最近の薬価調査では7.1%(内用薬7.2%、注射薬7.1%、外用薬6.9%)にまで下がってきている。
しかし、薬価差は医薬品によってずいぶんばらつきがあり、薬効分類別でみると最大9.6%〜最小5.7%の開きがある。
より具体的には合成抗菌剤、ビタミン剤、高脂血症用剤、消化性潰瘍用剤などが大きい。
医薬分業というのは、県によって進み方が全く違うが、全国平均でみると43%ぐらいになる。
最も進んでいる秋田県では66.7%、最も遅い福井県では13.3%である(「2001年度上半期の県別分業率」基金統計月報、国保連合会支払審査業務統計より)。
ただ、医薬分業でひとつ問題になることは、患者にとってプラスかマイナスかということになると、実は患者にとって、経済的にはあまりいいことはない。
処方料というのを別個にとられているからである。
つまりいままでのように病院で医師に処方してもらい薬をもらって払っていた額と比較して、病院で医師に処方してもらい調剤薬局へいって薬をもらう方が支払う合計額が高くつくのだ。
実際に医療費支払い明細であるレセプト一件あたりの薬剤点数を、医療機関の病院外来の調剤と調剤薬局の調剤で比較すると、平均で病院外来の調剤が525.9点(病院772.6点、診療所410.1点)に対し、調剤薬局の調剤は615.8点(病院879.8点、診療所482.4点)と、調剤薬局での調剤の方が約100点高かった(「Y」2002年2月8日号)。
単純に考えれば、医師の取り分が調剤薬局に全部回っただけだと思うはずだが、そうではない。
そういう仕組みでは、医師は調剤薬局に処方をあまり回さなくなる。
そこで、医師が調剤薬局に回すといくらか処方料という名目で余分にお金が入ってくるようになっているのだ。
これは、医薬分業を進めるための厚生労働省の政策である。
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